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性欲と脳科学 (2013/4/28)
本能性欲とは脳の中で起きる「性・生殖に対する本能的欲求」のことである。この本能的欲求を司っているは、脳の中心部にある間脳という部分で、この間脳に幻の「性中枢」があるらしいと分かってきている。特にその中でも、大脳の内側にある視床と視床下部に「性中枢」が存在することが明らかになって来ている。この視床と視床下部は大脳と中脳の間に位置し、辺縁葉と呼ばれている。この辺縁葉には、視床・視床下部・脳梁・扁桃核・下垂体などが属していて、この辺縁葉の部分がおおむね「脳の旧皮質」と呼ばれる部分になっている。この「脳の旧皮質」は、ほとんど全ての生物が、生まれながらに持っている「脳みそ」ということが出来る。 「大脳性欲」とは、上記「本能性欲」を司る視床下部などの辺縁葉をすっぽり包み込む形で発達した、新皮質・大脳が司る「性欲」のことである。哺乳動物⇒猿⇒類人猿⇒人類と進化するにしたがって、この「旧皮質」を被う形で、大脳・新皮質という「脳みそ」が発達していく。人間では類人猿の数倍に大脳が成長してしまう。大脳が生物の中で桁外れに大きくなったのが人間の脳の構造的特徴といえる。また、この大脳は生まれながらにして出来上がっているものではない点が非常にユニークで、その人間の発育状況に応じて成長していく脳皮質なのである。この新皮質といわれる部分に、その所有者の知性・教養・学習・感覚・視聴覚・記憶・創造・意志などなどの司令塔・中枢が存在している。この新皮質と視床下部を中心とした旧皮質の辺縁葉の間で、体液やホルモンや神経繊維を媒介として、スパコンもかなわない正確さとスピードで緊密に連携がとられ、我々は生きている。 「大脳性欲」にとって「本能性欲」はソフトウェアーとハードウェアーの関係に似ている。多少無理はあるが、ほとんどの生物はハードウェアーに組み込まれた単純なプログラムだけで、あらゆる行動をしている。それに対して、高等な動物になるにしたがって、綿密なソフトウェアー(新皮質・大脳)が組み込まれると考えてもいいであろう。 つまり「本能性欲」は独立性が強いが、「大脳性欲」は独立性が乏しいということが言える。しかし、人間の大脳は肥大化し、外界からのあらゆる刺激に激しく反応する機能を所有してしまった。旧皮質がベースである本能をも抑制・亢進させるインベーダみたいなものとも言える。旧皮質の「性中枢」は「庇を貸して母屋を取られる」気分だが、どっこい、結構新皮質の大脳に影響力を持っている。だからこそ次の「統合性欲」の説明が必要になってしまう。 「統合性欲」(人間の性欲)とは上記の「本能性欲」(旧皮質性欲)と「大脳性欲」(新皮質性欲)の統合・総和によって出来上がったものである。(類人猿の一部にもあてはまる) 後天的に成長する人間に顕著な新皮質・大脳と多くの動物が生来的に持っている旧皮質・視床下部を中心とした辺縁葉との間で展開する、体液・ホルモン・神経繊維を媒介とするネットワークが人間の性欲の決め手となるのである。外界から受ける五感の刺激はすべて大脳を通じて、下垂体や性腺や自律神経に伝達され、内臓や性器に伝えられるわけである。 人間の性欲は大脳と視床下部辺縁系が互いに影響し合い、双方でコントロールをし合うという面白い関係にあるわけである。これらのコントロールは性欲の亢進だけでなく抑制もするところがミソなのだ。 つまり、オスの本能の為せるワザとして、好みのメスを見つけると、見境なく押し倒し「性欲」を満足させることが難しいのが人間の性欲のメカニズムなのである。大脳は成長に伴って、教養・倫理・道徳・宗教などの情報を大脳に詰め込み、動物的性欲を抑制することになる。中にはこの大脳に何らかの障害が起きたり、一部成長が未熟であったり、逆に老化などによって大脳と視床下部辺縁葉のコントロールが狂ってしまい、異常性欲を起すことがある。また、皮肉な現象として、大脳に道徳や倫理など精神活動を歪める形で形成する高度な脳活動故の人格障害も発生する。 何だ!不便になっただけかなどと嘆かないでもらいたいものだ。この大脳による複雑な性欲を人間が身につけたことで、「コミニケーション・セックス」という生殖を離れた複雑なセックス(オーガズム・セックス)を与えられたのだから、文句を言えた義理ではない。 生殖だけのセックスであれば、早漏は正解なのだ、膣内に射精さえすればいいのだから。現に類人猿以下の動物のセックスタイムなんて、”ちょちょいのちょい”である。30分も挿入していたら、間違いなく他の動物に食べられている。だからといって、早漏の男が進化が不足した人間だ等とは言っていない。
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